大ミミ、小ミミ。
さとうるる



子どもの頃に見ていた朝の連続ドラマ「風見鶏」。日本人の妻と二人三脚で神戸の街にパンを広げていくドイツ人のパン職人の姿と、神戸・北野の美しい街並みは、子どもだった私の心に深く残るものとなりました。
その放送終了の3ヶ月後に起こったのが宮城県沖地震。仙台の街が深い闇に覆われたあの夜のことを思うと、今でも涙が出そうになる。揺れるろうそくのちいさな火がどんなに心もとなかったか。どんなにかひとすじの灯りが恋しかったことか。
仙台は光のページェント、神戸はルミナリエと、全国で数ある光のイベントの中でもこの2つが長年続いているのは、やはりあの「闇」を経験した街だからこそ。
そんなこともあり勝手にシンパシーを感じてきた神戸の街で出会ったのが「大ミミ」「小ミミ」。
そう、「風見鶏」のモデルとなったお店、「フロインドリーブ」を代表するお菓子です。

私がはじめてフロインドリーブを訪れた時は、お店は北野町にあったのですが、95年の阪神・淡路大震災により大きな被害を受け、しばらく店を閉じていらっしゃいました。
復活の日には、神戸じゅうの再開を待ち望んでいたお客様でお店が埋まったというエピソードがあらわすように、まさに神戸のシンボルとも言えるお店です。
現在のお店は生田町にありますが、この建物は、かつては神戸ユニオン教会という、約80年前に建てられた古い教会でした。
震災の損壊で解体されることを知ったオーナー夫妻が、ご自分たちが結婚式を挙げた思い出の場所でもあるこの教会を買い取り、ベーカリー&カフェとして再生したのです。
1Fはドイツパン、焼き菓子などのテイクアウトショップ、礼拝堂だった2Fは広々としたカフェになっており、焼きたてのパンを使った美味しいサンドウィッチが各種いただけます。

私の「大ミミ」「小ミミ」との出会い、それはとにかくこの名前にすっかりやられちゃった、ということ。一説によると、その形が豚の耳に似ているから、という話もあるようですが、まあとにもかくにもこのネーミング!そして、このキュートなかたち!!そしてそして、とっても香ばしいバターの香りとサクッサクの食感!!!
このお菓子、神戸を代表するお菓子だけあって、百貨店でも売ってるし、ガイドブックにも載っている神戸みやげの定番中の定番でもあるわけですが、なんと驚くことに、いまだに全部手作りだそう!型にはめず、ひとつひとつ鉄板で焼いているそうです。
どうりでこのホームメイドのお味。そして並べてみると形が不揃いなんですねー。

小ミミはプレーンのみ、大ミミはプレーン・セサミ・チョコと3つの味がそろいます。私はだんぜん小ミミ派!なのですが、ゆみさんをはじめ、どうも大ミミ派の方が多いみたい。みなさんはどっち派かなあ?




大ミミぶりに大笑い。

いわさゆみ



私は、大ミミ派! るるさんから「神戸の大ミミはもちろん、知ってるよねえ」って訊かれて、知らないよって言ったら、るるさんが ふんぞり返って驚きました。なんで、こんなにベタなぐらいの有名なお菓子をご存じないの〜って。ありえない〜って。私としたことが…まだまだ、未知の食べものがいっぱいなのね。反省してしまいました。

私が知らないのなら、ということで、急遽、お取り寄せしたのがこのお菓子。子どものころ、源氏パイ好きだった私にとって、これは大人の高級源氏パイ…といっては、いけないかな。手のかかりかたがちがいますものね。でも、箱をあけて登場した、ほんとうに大きなミミにうれしくなって、笑いが止まりませんでした。見ただけでも、しあわせになれるからすごい。お味はもちろん、申し分なし。
ロシアケーキに引き続いて、子どもの頃に帰れるお菓子です。



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フロインドリーブの大ミミ、小ミミ
食べた日 / 2007.3.27







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