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村上開新堂のロシアケーキ
食べた日 / 2007.2.18






ハイカラ京都

さとうるる




京都の街は「通り」の数だけ、いろいろな顔がある。 その中でも、さらに南北で表情がまるで違うのが、寺町通。 御池通を越えて、御所に向かってぶらぶらと歩くのが、京都に行った時のおきまりの散歩コース。 老舗が立ち並ぶなか、新しいものがほどよくミックスされた街並は、どこか開放的で、独特な雰囲気を醸し出しています。
その寺町通に、まるでそこだけ時が止まったかのようにひっそりと、しかしとても凛とした佇まいで存在しているのが、創業明治37年、京都最古の洋菓子店「村上開新堂」です。 風格のある看板にひかれて中に一歩入ると、昔ながらの木枠のガラスケースやレトロなタイル貼りの床・・・ こどもの頃に近所にあった、おばあちゃんがひとりでやっていたパン屋さんを思い出してしまいます。

このお店は、かの池波正太郎がこよなく愛したという、みかんゼリー「好事福盧」でも大変有名ですが、私のお気に入りは何といっても「ロシアケーキ」。 文明開化の香りぷんぷんの、そのレトロなフェイスとお味にひとめぼれしてからはや十数年。 いまでも京都に行くたび必ず立ち寄るお店です。
創業当時からつくり方もそのまま、さらにレーズン&チェリー、チョコ、あんずジャム、ぶどうジャム、ゆずジャムの、香り高い5種類のトッピングも変わらずで、今でも全てていねいに手づくりされているのです。
ひとくちいただくと、そのさくさくとした食感と、粉とバターのフレッシュさに感動。でも、ふつうのクッキーよりもっと和風なかんじ・・・たとえていうなら、南部せんべいっぽいテイストもほのかに感じられたりして、どこか郷愁を誘うんですよねー。
そしてさらに感動したのが、この5種類のトッピングにより、それぞれ食感を微妙に変えてつくられているということ。レーズン&チェリーはしっとりと、ゆずジャムやぶどうジャムはサクッサク。
5種類のロシアケーキがそれ以上にも思えてきたり。うーん、これぞ職人技!
お店ではいつも白衣を着た職人さんたちがきびきびと応対してくださるのですが、その姿からもこの丁寧な仕事ぶりが垣間見られ、京都という街で長い間愛されてきたもののたしかさと、その奥の深さをいつもしみじみ感じるのです。



ロシアケーキが好きな人
いわさゆみ



ロシアケーキは、そう発音しただけで、なんだか なつかしい気持ちになります。 どれにしようか迷っている時間は、子どものころに どんどんかえっていく。
村上開新堂のロシアケーキはうわさどおりのおいしさで、つくりたてのうちに届いたせいかサックサク。
4〜5日ほどあとに食べるとまたちがった食感で、しっとりとした感じ。どちらもていねいにつくられていることが感じられるお味でした。

ロシアケーキが好きな人はだいたいわかるような気がします。スタッフみほちゃんはぜったいロシアケーキが好きそうと思ったら、やっぱりでした。彼女はマトリョーシカも好きです。ロシアが好きというわけではないでしょうけれど、ロシアケーキと
マトリョーシカには共通するノスタルジアがあって、心が少女のような人はロシアケーキがとてもよく似合います。

ケーキという名を持ちながら、これはぜったいクッキーなのに、どうしてロシアケーキ??とは、きっと誰もが思うことでしょう。るるさんも私も調べたり、知っていたりはするものの確実な情報であるかどうか自信がないのでここではふれないことにしました。フランス人がおしえてくれたロシアのケーキ説(なぜ?フランス人がロシアのを…)や、ロシアにはロシアケーキはない説やなどいろいろあります。